「資格を取りたいけど、受講料が高くてためらってしまう」 「働きながらでも使える支援ってないのかな?」
そんな人にぜひ知ってほしいのが、国の制度「教育訓練給付金(きょういくくんれんきゅうふきん)」です。かんたんに言うと、対象の講座を受けて修了すると、払った受講料の一部が国から戻ってくるしくみです。
「制度って手続きが難しそう…」と感じるかもしれませんが、大丈夫です。この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、
を、順番にやさしく解説します。資格講座を申し込む前に、ここだけ読んでおけば安心です。
教育訓練給付金は、働く人のスキルアップや資格取得を、国がお金の面で応援してくれる制度です。会社員やパートの人が入っている「雇用保険」のしくみの一部で、申請の窓口はハローワークになります。
雇用保険に入っている(または、過去に入っていた)人が、国が「対象」と認めた講座を受けて修了すると、自分で払った受講料の一部が、あとからハローワークを通じて戻ってきます。受講料がネックで一歩を踏み出せなかった人にとって、心強い後押しになる制度です。
ここで、いちばん大事なポイントを1つ。
同じ「簿記」や「医療事務」を目指す講座でも、対象のものと、対象でないものがあります。しかも、同じスクールでも「この講座は対象だけど、別の講座は対象外」というケースも。だから、講座を選ぶときは「料金が安いかどうか」よりも先に、「この講座は給付金の対象かな?」を確認するのが、賢い第一歩になります。
ちなみに、対象になっている講座は全国で約1万7千講座もあります(2025年10月時点)。「自分の目指す資格の講座が対象か」を調べる方法は、記事の後半で紹介します。
ここが一番気になるところですよね。実は、教育訓練給付金には3つの種類があり、講座のレベルによって戻ってくる割合(給付率)が変わります。
| 種類 | 戻ってくる割合 | こんな講座が対象 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講料の20%(上限10万円) | 簿記、TOEIC、医療事務、行政書士 など |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40%(上限20万円)。条件を満たすと最大50%(上限25万円) | 介護職員初任者研修、社労士、大型免許 など |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%〜最大80%(年ごとに上限あり) | 看護師、保育士の養成課程、専門職大学院 など |
それぞれ、もう少しだけくわしく見てみましょう。
事務系・語学・多くの民間資格の講座がここに入ります。受講料の20%(上限10万円)が、修了後に戻ってきます。受講前の特別な手続きは不要で、修了後にハローワークへ申請するだけ。一番かんたんに使えるタイプです。
受講料ごとに、戻る額と実質負担の目安を出すとこうなります。
| 受講料 | 戻る額(20%) | 実質負担 |
|---|---|---|
| 3万円 | 6,000円 | 24,000円 |
| 5万円 | 10,000円 | 40,000円 |
| 10万円 | 20,000円 | 80,000円 |
| 30万円 | 60,000円 | 240,000円 |
| 50万円 | 100,000円(上限) | 400,000円 |
ここで2つ注意点があります。1つは、戻るのは上限10万円までということ。受講料が50万円を超えても、戻る額は10万円のままです。もう1つは、戻る額が4,000円を超えない場合は支給されないこと。受講料が2万円ほどの安い講座だと、対象にならないこともあります。
就職・再就職に役立つ講座が対象で、戻ってくるのは40%(上限20万円)。さらに、2024年10月以降に始めた講座で、修了後に資格を取って1年以内に就職した場合などは、10%(上限5万円)が上乗せされ、合計で最大50%(上限25万円)になります。
たとえば30万円の講座なら、まず12万円が戻り、就職などの条件を満たせばさらに3万円、合計15万円が戻る計算です。このタイプを使うには、受講を始める2週間前までに、ハローワークで事前の手続き(次に出てくるキャリアの相談など)が必要です。
看護師や保育士の養成課程、専門職大学院など、時間をかけて専門職を目指す講座が対象です。金額が大きいのが特徴で、
まで戻ります。こちらも、受講前にハローワークでの事前手続きが必要です。
「使えるのはわかったけど、私は対象なの?」という疑問にお答えします。対象になるかは、おもに雇用保険に入っていた期間で決まります。一般教育訓練給付金の場合、自分の状況を下の表に当てはめてみましょう。
| あなたの状況 | 対象になる条件 |
|---|---|
| 今、働いている | 雇用保険の加入期間が通算3年以上(初めて使うなら1年以上) |
| 離職している(今は働いていない) | 辞めた日の翌日から1年以内に受講を始める + 加入期間3年以上(初回1年以上) |
| 過去に給付金を使ったことがある | 前回もらってから3年以上たっている |
そのうえで、最終チェックはこの3つだけ。すべてに「はい」と言えれば、まず安心です。
対象かどうかは、自己判断で悩まなくて大丈夫。申し込み前に、ハローワークの「支給要件照会」というしくみで、対象かどうかを事前に確認してもらえます(やり方は後の「申請の流れ」で説明します)。
◯ 対象になる費用
✕ 対象にならない費用
給付金は「講座にかかった費用すべての20%」が戻るわけではありません。対象になるのは、入学金と受講料(最大1年分)に限られます。
たとえば「50,000円の講座」と書かれていても、その内訳が受講料45,000円+教材費5,000円だった場合、給付の対象になるのは受講料の45,000円分だけ。戻る額は 45,000円 × 20% = 9,000円 になります。
ポイントは、申し込む前に「受講料がいくらなのか」を確認しておくこと。領収書も、受講料と教材費などが分けて書かれていると、申請のときにスムーズです。「講座費用=全部が対象」と思い込まないようにしましょう。
申請の流れは種類によって少し違いますが、一般教育訓練給付金ならシンプルです。「いつ・どこで・何をするか」を時系列で整理すると、次のようになります。
| タイミング | どこで | 何をする |
|---|---|---|
| ① 申し込み前(おすすめ) | ハローワーク | 「支給要件照会」で、自分が対象か・その講座が指定講座かを確認する |
| ② 申し込み時 | スクール | 「給付金を利用したい」と伝え、必要な手続きをする |
| ③ 受講中 | 自宅など | 課題の提出や修了試験など、講座の修了条件を満たす |
| ④ 修了後 | スクール | 修了証明書・受講料の領収書など、申請に使う書類を受け取る |
| ⑤ 修了日の翌日〜1か月以内 | ハローワーク(住所地の管轄) | 必要書類を提出して支給申請する(来所・郵送・電子申請のいずれか) |
| ⑥ 申請後・後日 | (振込) | 審査のあと、指定した銀行口座に給付金が振り込まれる |
大事なのは、受講料はいったん自分で全額払うこと。「申し込み時に割引される」のではなく、修了して申請したあとに、あとから戻ってくるしくみです。
⑤で提出する主な必要書類は、教育訓練給付金支給申請書/修了証明書(スクール発行)/受講料の領収書/本人確認書類/マイナンバーがわかる書類など。申請はインターネット(e-Gov電子申請)でも可能です。
なお、特定一般・専門実践を使う場合は、受講を始める2週間前までに、キャリアの専門家への相談(訓練前キャリアコンサルティング)とハローワークでの手続きが必要です。一般より少し早めに準備しましょう。
これまで紹介した教育訓練給付金は「受講料の一部が戻る」制度ですが、2025年10月からは、それとは別に「教育訓練休暇給付金」という新しい制度も始まりました。
こちらは、働いている人が学ぶために仕事を休み、その間お給料が出ないときに、生活費を支える手当を受け取れる制度です。受講料を補助する教育訓練給付金とちがって、「休んでいる間の生活」を支えるのがねらいです。
ざっくり整理すると、次のようなしくみです。
仕事を辞めずに、まとまった時間を学びにあてられるのが大きなメリットです。「働きながら少しずつ進める」だけでなく、「いったん休んで集中して学び直す」という選び方もできるようになりました。長期の学び直しを考えている人は、教育訓練給付金(受講料の補助)とあわせて知っておくとよいでしょう。
「この講座は対象なのかな?」と思ったら、調べる方法は大きく3つあります。それぞれ得意・不得意があるので、組み合わせて使うのがおすすめです。
当サイトでは、教育訓練給付金の対象になる講座を、資格・分野ごとに比較できます。「自分の目指す資格で、対象の講座はどれか」「料金や実質の負担はどれくらいか」をまとめて確認できるので、まずはここから探すのが手軽です。公式システムが少し使いにくいと感じる人にも向いています。
公式の「教育訓練講座検索システム」なら、国が指定した最新の対象講座を確認できます。手順はかんたんです。
「最終的に対象かどうか」を確かめるなら、この公式システムがいちばん確実です。
対象講座には「教育訓練給付制度 対象」と書かれていることがほとんどです。気になる講座が見つかったら、公式サイトでも対象かどうかを確認しておきましょう。
注意したいのは、対象講座は年2回(4月・10月)に見直されること。少し前は対象でも、今は外れていることもあります。申し込む直前に、公式システムで「今、対象か」を確かめておくと安心です。
「自分が目指す資格で、給付金が使える講座はどれ?」という人のために、資格・分野ごとに対象講座を比較した記事を用意しています。給付金の種類や、実際に戻ってくる金額は資格によって変わるので、目指す資格の記事もあわせてご覧ください。
Q. 自分が対象かどうか、どうやって確認するの?
A. おもに雇用保険の加入期間で決まります。確実なのは、ハローワークで「支給要件照会」をして、対象かどうかを事前に確認してもらう方法です。
Q. 給付金はいつ・どうやって戻ってくる?
A. 受講料はいったん自分で全額払い、修了後にハローワークで申請します。審査のあと、後日まとめて指定の口座に振り込まれます。申し込み時に割引されるわけではない点に注意しましょう。
Q. パートやアルバイトでも使える?
A. 雇用保険に入っていて、加入期間の条件を満たしていれば使える可能性があります。まずは確認してみましょう。
Q. 在職中に使うと、会社に知られる?
A. 一般教育訓練給付金は、本人がハローワークに申請するものです。会社を通す必要はないため、申請したことが勤務先に通知されるしくみではありません。
Q. 分割払いでも対象になる?
A. 分割払いでも対象になります。ただし、分割(ローン)にかかる手数料の分は対象外です。
Q. 前に一度使ったけど、また使える?
A. 前回もらってから3年以上経っていて、条件を満たせば、もう一度使えます。
Q. 試験に落ちても給付金はもらえる?
A. 一般教育訓練給付金は、講座をきちんと修了していれば、試験の合否に関係なくもらえます(スクールの修了認定が前提です)。
Q. 申請を忘れて期限が過ぎたらどうなる?
A. 一般の場合、申請は修了日の翌日から1か月以内が原則です。過ぎるともらえなくなることがあるので、早めに手続きしましょう。
教育訓練給付金は、対象の講座を修了すれば受講料の一部(最大8割)が戻ってくる、とても心強い制度です。むずかしく見えても、ポイントはシンプルです。
「気になる資格はあるけれど、費用がネック」という人は、まずその講座が給付金の対象かどうかを確認して、戻ってくる分を引いた“実質の負担額”で比べてみてください。きっと、思っていたより一歩を踏み出しやすくなるはずです。
資格ごとの対象講座の比較記事も用意しているので、あわせて参考にしてくださいね。
本記事は、以下の情報をもとに作成しています(数値・制度内容は2026年6月時点)。